自己啓発(第3話):沈みゆく大国 アメリカ

   早めの初盆で帰省していて、ブログで何を書こうかと迷っていたのであるが、タイミングよく表題のテーマを得た。
   「沈みゆく大国 アメリカ」は堤 未果著による新書本のタイトルである。日米の医療比較がなされたよい本なので、このブログでも近いうちに取り上げようとは考えていた。しかし、そのためにはもう一度丁寧に読む必要があると考えていた。ところが、伊東光晴氏が書評として纏めてくれた(毎日、8月2日)ので、伊東氏の書評を更に私なりに纏める形で本の紹介を試みることにした。上手にまとめられていれば幸いである。
   著者が最も主張したいことは、「アメリカの医療は、金があれば天国、なければ地獄」である。それに対して「日本の医療は、一枚の保険証で、日本中いつでもどこでも、余り支払いを気にせず医者にかかることができる」ことである。
   もう少し詳述しないと日本の医療制度のよさが分からないので、それについて記す。
   著者によれば、アメリカでは一応安心できる医療費は月額一万ドル(著者は1$=100円計算なので100万円)と推測する。ところが、著者が調査した人は、母親を大手企業が経営する老人ホームに月額2000ドル(20万円)で入居させていた。部屋はバス・トイレ付き、小キッチンも付いていた。しかも、低所得者用公的医療保障も適用されていたが、介護が必要な親は、ケアは受けず医者にも診てもらっていなかった。というのは、アメリカにおけるナーシング・ホームは、有資格看護師が一人で他はアルバイトのような人で、人手が少なく老人の多くは放置されているという。世話をしない故、利益率がよいので、そのようなホームが急速に増えているというのである。つまり、預かり放置もされない施設を選ぶなら月額一万ドル(100万円)程要るのである。
   二つ目は、日本では、一枚の健康保険証でいつでもどこでも医者にかかることができるが、アメリカでは、健康保険いかんで罹れる医者と罹れない医者とがあることである。つまり、アメリカでは、公的保険以外の民間の医療保険に入っていないと罹れない医者がいるのである。そこを付け眼にしてアメリカの保険会社や医薬会社は大金儲けを企むことができる仕組みになっているのである。
   三つ目は、日本における消費税とその増額は、社会保障のためにではなく、法人と高額所得者への減税のために行われている、ということである。著者は、1990年代以後の日本の消費税の累計と、法人税の減額累計がほぼ一致していることを図(51ページ)で示している。日本における格差社会はこのようにして作られているのかという思いである。安倍総理の、大企業と大金持ちの収入が益々増えると、そのこぼれが一般市民にも及んでゆく、ということが事実として裏づけられているのかもしれない。
   これに関して私の意見をもう少し述べれば、日本の大企業は、経営が苦しい苦しいといい続けながら、従業員の給与を抑え、非正規雇用者を増やして、結果として内部留保を増やしていった(結果、あちこちの会社で史上最高益となる)。そのためたお金で多くの企業が海外の企業を買収している。その余波は、若者が結婚したくてもでき難い生活環境を作り上げているし、日本の人口減少へとつながっている。ひいては、不足した労働人口を海外からの移入に頼ろうとしている。その先には、アメリカやヨーロッパで起きている民族間の紛争が待ち受けているかに見える。以前にも記したように想うが、多民族国家は社会学的には崩壊への道を辿ると聞いている。それが真実ならば、日本は今、少しずつ崩壊の準備を始めているとも言えるのである。
   話を元に戻すと、安倍政権の国家戦略特区の設定は、日本の優れた健康保険制度を規制緩和という美辞によって、アメリカ大資本の餌食になる道を拓くことにつながるとも、この本の著者は警告するのである。
   日本人のすべてが、広い視野でもって状況を観察し、深め、よりよい日本にすべく努力する必要があると感じる。その意味で、自己啓発のブログとした次第である。
   追記:日本における「高額療養費制度」は、アメリカ人からすれば「信じられないと言って、絶句されるほどの素晴らしい制度」だと記している。医療支払いの月額が一定以上になると、国が減額してくれるからである。このような素晴らしい制度を維持するためにも、増額した消費税が一般庶民の社会保障費に使われる日本としなければならない。そうしないと、一部の特権階級だけが税の恩恵を受ける国になってしまうと感じる。国民の賢さが問われているのである。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック